『空気人形』

業田良家の同名短編を元に、是枝裕和が脚本監督編集をした一本。主演は『リンダリンダリンダ』のペ・ドゥナ。他に板尾創路、高橋昌也、余貴美子寺島進オダギリジョー富司純子等々。音楽がWorld's End Girlfriend。原作は既読だが、内容を全然思い出せない。
いきなりダッチワイフとしてる板尾創路のシーンから始まるんで、何も知らずに観るとドン引きだろうな、と思うが、知らない人は観ないからいいか?と思ったり。で、心を持って動き始めたダッチワイフが窓を開けて、物干し竿の滴を触り、その冷たさを感じ、ペ・ドゥナの身体に変わるシーン。その一瞬で物語というかペ・ドゥナに引き込まれた。
そこから目に映るもの全てが目新しい元・ダッチワイフ。動きもぎこちなく喋りも不自由。それが次第に滑らかに、人の動きを言葉を真似てゆく。そしてレンタルビデオ屋の店員に恋をする。そこで、自分と人間の違い、例えば接合面の跡を気にしたり、光が透ける身体を見付からないようにとか。そのあたりの情動を過不足なく表現してる。
レンタルビデオ店で怪我をし、空気が漏れ出して、空気を吹き込んでもらう所が、一つの転換点。で、ラスト間近の空気を抜く→空気を吹き込むという一種の性行為。ダッチワイフという性の代償行為用の道具だけど、その命を遊ぶかの様な行為。その意味とか。倒錯過ぎてエロい。
役柄上、ペ・ドゥナのおっぱい一杯。他の役者も良いので、ちょっと毛色の変わったモノを観たい人には良いのかも。