『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』*2

ゾンビ映画の大家であるジョージ・A・ロメロが、「デッド・シリーズ」の二作目として出してきた『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』。
大学の課題として自主製作のホラー映画『Dead of the Dead』を撮る映画科の大学生とその教授。その最中にラジオから各地で起こる死者が動き出して人を襲うというニュースが流れてくる。状況把握とゾンビ達からの逃避行をドキュメンタリー映画としての『Dead of the Dead』として MySpace に残すというア
ウトライン。
手持ちカメラのドキュメンタリータイプの映画というと、『クローバーフィールド/HAKAISHA』や『ブレアウィッチプロジェクト』等が挙げられるが、これは映画科の生徒が人に見せる加工を施しているという部分が入ってくるため、見せ方として前述の二つとはかなり違う。手ブレとかその辺りはかなり抑え目なので、それに酔う人も多少は大丈夫なんじゃないだろうか。
前作『ランド・オブ・ザ・デッド』では9/11後に変容した社会の様を描いたが、今回はネット時代というか、各所で起こる事件の映像がマスメディアを通すことなくYouTube等で流れる。また、様々なblogでもそれらのレポートが上がってくる。政府やメディアにより規制された情報と各所で溢れる生の情報、両方
に警鐘をならしつつも、人間の残虐性で〆るという無茶苦茶後味の悪い所が最高に良い。
私は、設定の多い話よりは少ない設定で人がどのように変容してゆくかを書くのが好きなのだが、これはまさにツボだ。かなりシリアスな話でいわゆるホラーモノのお約束のほとんどをバッサリ切り捨てて突き進んで行くのだが、ニヤリと黒い笑いが唇の端に出るところも多い。街を取り仕切る黒人の集団に、単なる略奪者とかした州兵、しゃべれなくて筆談する老人等々。
無茶苦茶面白かった。特定層には受けるだろうな、きっと。