『スカイ・クロラ』*3

原作:森博嗣スカイ・クロラISBN:4122044286中公文庫】、監督:押井守、脚本:伊藤ちひろ、声優:草薙水素菊地凛子函南優一(加瀬亮)三ツ矢碧(栗山千明)土岐野尚文(谷原章介)笹原(榊原良子)等々。
原作は先日読んだばかり。押井節全開になりそうな原作だな、と思っていたのだが、蓋を開けたらそうでもなかったというオチですな。
まあ、一番突っ込まれるだろう点は、エンジニアの笹原がおばちゃんに代わっている点だ。ベテランの榊原良子が上手く演じているのだが、パトレイバーの南雲隊長だよなーと言う点。で、榊のおやっさんのイメージと被らない様にしたかったのか?と勘繰ってしまった。パイロット達の精神的支柱に見えないようにするため?で、脚本は伊藤ちひろという人らしいのだが、いつもの伊藤和典っぽさが至る所に滲み出す。代わりに押井っぽさが奥底に沈んでしまった。キルドレの内面とかは押井が好きそうなのに、三ツ矢に語らせただけでカンナミやクサナギがぐじぐじしてない。その辺りが非常に残念だった。物語の改変もちょっとキツい。そりゃ無いでしょ的な終わり方だしな。
空戦シーンで、メインの戦闘機の散華Bのデザインですが、なんですかあの馬鹿でかい二枚の垂直尾翼は。で、何で軽く逆ガルウイングになってるんだ?何処にも無いデザインを目指した結果がアレなのかな?震電とかに被らないためのデザインなのか?とりあえずあのデカい垂直尾翼での挙動がちょっと……。
煙草を吸うシーンの多い映画なのですが、カンナミが片手でマッチを擦るところなんかはバイク乗りっぽくて良いし、クサナギのガスライターを着ける仕草とか色っぽくていいんだけど、ガスライターやオイルライターの蓋を閉じる時に蓋を上から閉じるって普通やらない。やってみればわかるけど、熱いよ。横から弾く様に閉じるでしょ。その辺りのもう一歩がなんとももどかしい。
菊地凛子のクサナギは序盤ものすごい違和感があったが、途中でなれた。三ツ矢役の千明様は、悩みをぶちまける所の激情がゾクゾクくる。カンナミの加瀬亮は主人公なのにイメージ薄いな。
結局、何処を目指したんだろうか、これは。シリーズ化を目指すにはシナリオが違いすぎる気がするんだけど。まあ、続きを読まないとダメなのかな?