『レディ・チャタレー ディレクターズカット版』*7

言わずと知れた『チャタレイ夫人の恋人』の映画化。これで四回目だけど、今回は女性監督。で、元の小説はイギリス文学なのに、またフランスで映画化。二回目はイギリスだけど、やはりこういうのはフランスなのかな……、と思ったりする。
で、"レディ"と銘打つだけあってか、主役のチャタレー夫人コンスタンスの言動がやたらと若い。普通に出回ってる『チャタレイ夫人の恋人』は第三稿だが、この映画は第二稿を元にしているからかも知れないが、猟師のパーキンと二人の関係を蜜に描いてる。その割に初めての行為が下だけ脱いで三こすり半だったり、猟師のおっさんの喘ぎ声がやたら五月蠅かったり、なんだかなーと。つか、タイトルから"恋人"が消えてるだけあってか、視点はコンスタンスに固定されていて、どうも片手落ちな気がする。
二人の関係が深くなるにつれて、行為の際に合わせる肌の面積が増えてゆく訳だが、二人でいる時に奔放になっていく感じと屋敷内での抑圧された感じの対比がイマイチ。後半の転機となる南仏への旅行やその時の心情の移り変わりがザックリ省略されていて、「おいおいそれは無いだろ」的なラストに。
エロも中途半端なら、物語も中途半端な出来だった。唯一良かったのは、未だ二人の関係が始まる前、猟師に会いに行く為に森の中を一人で歩く時の表情で色んな感情が浮かんでは消える所か。だからこそ、やたら若く見えるのかも知れないが。悪くは無いかも知れないが、映画館で観る価値は無いかな。