『アイ・アム・レジェンド』*5

リチャード・マシスンの『地球最後の男』*1フランシス・ローレンスが監督、主演ウィル・スミスで映画化。過去数度映画化*2されているが、解釈がそれぞれ違うので、殆ど別物。つか、マシスンの邦題だって『吸血鬼』だったり『地球最後の男』だったり『アイ・アム・レジェンド』。
元々は自分以外の人類がウイルスで吸血鬼になってしまったという話なんだけど、映画の中では"ダークストーカー"と言ってる。えーっと吸血鬼は何処行った?どちらかというと"グール"の様な描かれ方をしてるな。確かにウイルスで変貌したけど、ちょいなんだかなーと思ったり。
が、それよりも人一人いないNYの街の廃墟っぷりが素晴らしい。鹿の大群やウイルスに冒された犬とかのCGはたまに"アレ?"と思う所もあったけど、概ね良いな。あと、独りの寂しさかレンタルDVDの店にマネキンを置いて話し掛けたりとかの狂人一歩手前の演技やいつも一緒にいるシェパードの"サム"に話し掛けたりする時の優しさとか、結構ギリギリな感じが良い。
が、一方、感染者を捕らえて人体実験をしたりする時の倫理感とか余り悩んでない感じのギャップが全然描かれない。それに女の感染者を捕まえた時の男の感染者の行動をみて「思考力の欠如」とか言っちゃう見下した感じとかもスルー。表面上は描かれないが感染者のリーダー的存在と捕らえた女の感染者には何かしら縁があったのかな?と少し思わせる部分もある。けど、ウィル・スミスはちょうスルー。
薄いんだけど原作にあった人種や主義による差別の問題が全く入ってないから、なんか物足りない気もするかな。

*1:アイ・アム・レジェンド (ハヤカワ文庫NV)

*2:地球最後の男 [DVD] 地球最後の男 オメガマン [DVD]