『いのちの食べかた』*6

2005年のオーストリア・ドイツ映画。監督はニコラウス・ゲイハルター、編集はウォルフガング・ヴィダーホーファーという方らしい。

毎日食べている様々な食材がどの様な所で如何に生産、加工されて、我々の食卓に並ぶのかを淡々と映し続けたドキュメンタリー映画。台詞も音楽も一切無い。つか、エンターテイメントな要素は皆無。
多少は"知識"として知っている事なんだけど、92分続けて観てるとかなり強烈だ。牛や豚を電気ショックで屠殺したり後ろ足から吊して捌いたり、ベルトコンベアを流れるヒヨコに、首をカッ捌いてもヒクヒク動く鶏、全自動で三枚に下ろされる鱒、全身防護服にガスマスクをはめての農薬散布。全世界で数十億の人口を賄う為には当たり前の事なんだけど、普段は余り意識してない事を延々と。時折挟まれる労働者達の休憩シーンの色彩がやたらと鮮やかで、一枚の絵画の様な美しさ。
チラシに「いただきます」ってだれに言いますか?と言うキャッチコピーが書いてあるんだが、これを目にして思い出したのが、11年通ってる定位置のお母さんとここ半年通ってる池尻大橋のお母さんが偶然に同じ台詞をたまに口にする事を。
「私達は命をわけて貰って生きているんだから」
料理をしている人故にの台詞なのか、特定の年齢以上の台詞なのかはわからないが、その言葉の意味が多少わかった様な気がする。頭でわかると言う感じじゃないな、身体でわかる感じに近いかも。
と書いても、エンターテイメント性は皆無だから、寝る人がいても仕方が無いな。実際、斜め後ろに座った爺さんは爆睡してたし。
年末年始の深夜にNHK教育とかで流して欲しい内容ではあるな、先ず民法では流せない内容だし。