『長い散歩』
予告でUAが歌う陽水の「傘がない」に惹かれて観た。奥田瑛二の監督作品三つ目との事だが、これが初めて。
校長にまで勤めて定年退職したが、厳格さが仇となって家庭が崩壊してしまった松太郎*1が、親に虐待されている少女、幸*2を連れての逃避行という骨組みなんだけど、実際に救われたのは誰?という感じ。
冒頭の山田昌の名古屋弁、長良川に愛岐大橋等々で、江南から春日井辺りの話という事がすぐ判る。つか、妙に懐かしい。段ボール製の天使の羽をつけた少女の母、高岡早紀の名古屋弁が微妙に違うのだが、それはそれで。
少女の母真由美、高岡早紀の色気と哀しさ、逃避行の途中で出会う青年わたる、松田翔太の虚無、緒方拳の過去、幸の溶けてゆく心。全てが絡み合って、重くて苦しい。この中では少し浮いてしまった刑事役の奥田瑛二だが、物語を現実に繋ぎ止めるのに役立っているのかな。
イロイロあってエンディングにUAの歌う「傘がない」。涙腺崩壊。
重いけど、泣ける。少々重過ぎるのが難アリだが。ダメな母親をもった映画で重いモノと言うと『誰も知らない』*3を思い出すな。方向性が違うけど、なんだかまた観たい気がした。