『茶々 -天涯の貴妃-』

井上靖原作『淀どの日記』*1橋本一が監督で映画化。出演は寺島しのぶ中村獅童渡部篤郎等々、今作がスクリーンデビューの元宝塚の和央ようかが主演。
浅井長政と信長の妹お市の方の娘、茶々(後の淀殿和央ようか)にスポットを当てつつ、浅井家三姉妹、初(常高院京極高次正室富田靖子)と督(崇源院徳川秀忠正室寺島しのぶ)との絆を史実をイロイロ無視してヤっちゃったって感じ。
幼少期、お市の方原田美枝子は良い。が、兄の信長役の松方弘樹は……。茶々の子役に菅野莉央、督に谷村美月はナカナカ良い。キーアイテムになる懐刀の細工がチャチ過ぎて白ける。
成長して秀吉(渡部篤郎)に輿入れ。聚楽第の建物がもろ二条城になんかテクスチャ貼り付けただけで、えーっと……。だけど、渡部篤郎の秀吉が素晴らしい。それに呼応するかの様に和央ようかの大きな瞳が少ない台詞を補って余る雰囲気を醸し出す。北政所(余貴美子)の雰囲気も良い。秀吉の時代にソメイヨシノとそっくりな桜で花見をしていたりする所も目を瞑ろう。でも、家康に中村獅童は無い。督に対する台詞も辻褄が合わないモノというか、冬の陣なのか夏の陣なのかわからんし、なんで一回しか大阪城を攻めないんだろ……。まあ、置いといて、大阪城を攻める年には督は家光産んでたよな。なんでこんな所にとか言っちゃダメ。
クライマックスというかなんというか、淀殿が鎧に身を包んで馬に乗り駆ける姿は、モロ宝塚してて、無茶苦茶カッコいい。宝塚にハマる人の気持ちが少し理解出来たかも知れない。秀頼が鎧を着て馬に乗ってるのは、なんだか違和感があるんだよな。
/* どうも私の中で秀頼のイメージは、星新一の『城のなかの人』*2で固まってしまっている模様だな。因みに数少ない星新一長編。 */
大阪城の模型とCGのショボさも泣ける。終わり方もなー。納得いかんわ。史実に目を瞑っても、小道具や背景までもがチャチではアカンでしょう。

*1:淀どの日記 (角川文庫)

*2:城のなかの人 (角川文庫 緑 303-8)