『天然コケッコー』

くらもちふさこの原作『天然コケッコー*1の映画化。原作は未読。結構評判よさげなんでとりあえず。
ずっと都市部で育った人には分からないかも知れない微妙な田舎の空気感がスゴいな、これは。小中合わせても六人しかいない学校に東京から転校生がやってくる所から物語は始まり、溶け込む所から互いに惹かれるのだが、原作未読でもお話をかなり端折っているのが明確にわかる。が、常に微妙な感情の起伏が明確になることなく、そよ*2の表情で表現される。で、それで十分。細かい事はおいといて、個々の思い出や想像に任せるという事か。
後半は多少物語が密になるが、基本的にそよの一人称視点で二時間以上を退屈する事なく見せるのは、結構スゴいかも。見せ方か夏帆がスゴいのか?
納得いかない部分もそれなりにある。高速道路が遠くに見え、単線とは言え電車が通っていて、学校から家に帰る時に見える家々の数、電線の数、廃校寸前の集落というにはちょいそれは無い。ロケの場所はそんなに辺鄙な所に見えないのが少し気になった。
ラストの窓から桜の花びらがはらはらと入ってくる所なんかは、邦画では結構目にするが、その後のプラスαがなんだか象徴的。
台詞はたくさんあるのだが、余り言葉の印象が残らない映画だった。それ故もどかしさと満足感が交差する。