私にとって理想の呑み屋ってどういう所だろう。

ここ十年ぐらいは毎週何処かで呑んでいる訳だけど、最近特にあまりカタログスペック的というか雑誌の特集的な「〜が旨い」とか「焼酎〜種類常備」の様な煽りにそそられなくなってきた。
確かに旨い旬の肴があって、旨い酒や飲んだことの無い酒があるというのは魅力。でも、それって必要最小限の事だよね。それを満たさない所とは知らずに一回ならともかく二回以降飲む理由は無い。
で、自分がダラーっと気を抜いてゆっくり呑める所って、どういう店なんだろ。どういう事が嬉しいのかとか、店の評価に載らないプラスαの何かって、なんだろって思って書き連ねてみる。

細かい気遣い。

キヌサヤの筋がとってなかったりするのは論外だが、結構旨い店なんだけど、手羽先の筋を断ってなかったり、ほたるいかの目玉がとってない所はある。つか、大半はそんな感じだったりするけど。味は変わらないんだけど、包丁を一回入れるだけで、食べやすくなったり、食感が良くなる。それだけの事なんだけど、少し嬉しい。
日本酒を呑んでいる時に、違う種類を頼んだらお猪口を変えてくれるのも、当たり前なんだけど、嬉しい事だ。5種類6種類と頼んでも変えてくれると少々すまない気になるのも確かだけど。

店の雰囲気。

内装や店主の人柄だけではなく、店の客層も非常に重要な要素。一見の客同士がカウンターでいろんな話が出来る雰囲気。一人で静かに呑みたい時、ちょい人恋しい時、興味深い話をしている時、様々なシチュエーションがあるだろうが、それに合わせて周囲も自分も自分の連れも対応出来る様な客層に雰囲気。それがあって初めて成立する事。自分にあった所を探すのはナカナカ骨が折れるが、一度見付けたら一生モノ。

好みを覚えてくれて、それに合わせた肴。

私個人が好き嫌いが激しいのもあるのだが、店主と仲良くなると「ちょい塩辛い」とか「もう少し酸味がキツくても良い」とか「これには胡麻欲しいな」とか、味に関してわがまま言い放題。で、次回それに合わせて出してくれるのは結構嬉しい。
で、そういう事をやっていると、新メニューの実験台になるんだけど、それはそれで面白い。

匂い。

物凄く個人的な事なんだが、百合の花の香りが大嫌いなので、百合の花が飾ってない事は結構大きい。つか、百合じゃなくても香りのキツい花を飾って欲しくはない。味の薄いモノを食べている時に強い香りは流石に……。
結構コジャレ系な店がアウトになる理由の一つだったりする。

これだけ揃っていても。

カウンターと椅子とフットレストの高さがバッチリあっていないと100点にはならない。
これだけの要求全てを満たす様な店はそうそう無い。武蔵も数点足りない。定位置の椅子がもうちょい良ければ、100点なんだけど。