『ダーウィンの悪夢』

一応、ヴィクトリア湖ナイルパーチという外来種が入った為に「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていた豊かな生態系が破壊されている事と、ナイルパーチが日本に"白身魚"*1として輸入されている事は、元々知っていた状態で観た。
ドキュメンタリーなのにデータが全く無いからか、無茶苦茶うさん臭く見えてしまう。「印象操作をしているんじゃないの、これ」と思う描写もチラホラ。確かに、ナイルパーチ漁のもたらす産業によって様々な変化と弊害があるのだろうが、怪しい所があると全部が怪しく見えてしまう。
例えば、

  • 工場からアラを運び出して、郊外でそれを干してから頭だけ揚げて国内に出荷するらしい。で、干している所の悲惨な衛生状態を映すのだが、何故、腐る身を付けたまま干す必然性があるんだ。つか、身が残っている背骨をそのまま揚げれば国内向け商品にならないのか?
  • ボロを着て貧困層の中にいるのに、英語ペラペラ。スワヒリ語じゃないの?高等教育受けたのになんで?
  • 湖畔で子供達が米を炊いている所で取り合いが起こる。その前に、その米は何処から入手したんだ?つか、具が入っていたのだが、そんなに余裕があるのか?

この手のツッコミは山程あるし、工場長の腕に光る金の腕時計越しに見えるスラム街や、パイロットと娼婦の描写等々、エゲツないというか露骨な表現の数々。誘導的というか答えが用意されている質問形式。明らかに作為的過ぎる。
監督、若しくは製作者の主義主張が強過ぎて、ドキュメンタリーというよりプロパガンダとしてしか見えなかった。もう少し落ち着いたドキュメンタリーなら良かったのにな。

*1:法律が変わる前は"スズキ"として、今はただ単に"白身魚"として。安い外食産業の白身魚のフライとか要注意だったりするとかしないとか。