『明日の記憶』

原作*1は未読。映画館の中を見渡すと、比較的年齢層が高めというか、老夫婦が目立った。
仕事人間が50を前に若年性アルツハイマーに罹り、病との闘う夫婦の姿。
序盤、病気を認めたくない佐伯*2に、励ます妻、枝実子*3に、事実を告げる医者*4の淡々とした診察と屋上での激白。薄々感じ始めた部下*5や、病気を知った上司*6辞める事が決まってからの取引先の人達*7。序盤からお涙頂戴全開。
娘の結婚式が終わり、仕事を辞め、孫が産まれる日常の中で緩かに進行していく病。思う様にならない自分に苛立つ姿。過去の記憶の影がちらつく。
病気を告知された時に、「ゆっくり死んでいく」と表現していたが、精神のターミナルケアの物語なんだな。ラストの山道で妻に問い掛ける事で、「死」を意識させる様な……。
物語というか所々話が欠落している様に感じたのは、映画の尺の問題か、意識的にそうしているのか、その点が引っ掛かったが、それ以外は概ね満足。つか、泣きっぱなしになる映画だな、本当に。
渡辺謙の演技もスゴいが、樋口可南子*8って、今幾つよ。演技もスゴいが、アップでも本当に綺麗だな。夜の庭で一人嗚咽する姿や、山道で振り返った潤んだ目。
地味だけど、観るべき人というか、客層はあるのかな。
あ、そうそう、出来ちゃった婚をした娘の旦那の名前が、「伊東直也」。何処かで見た様な名前で、ちょいフイタ。