『SPIRIT』*4

フォ・ユァンジャという実在の人物をモデルにして描いたジェット・リー主演のアクション映画。ジェット・リーで中国大陸が舞台だと武侠映画に思えるが、かなり趣が違う。
フォ・ユァンジャにまつわる映画は、『ドラゴン怒りの鉄拳』*1『フィスト・オブ・レジェンド/怒りの鉄拳』*2等があるが、それは精武体育会の物語に近い感じがするので、私が観た事のあるモノでは初めてかも知れない。
さて、善と悪のジェット・リーというと『THE ONE』*3が思い浮かぶが、今回も力を追い求める前半の動きは直線的。やはり「力」を純粋に表現するには、それが一番簡単なのかなーと思ってしまった。
で、諸事情により田舎に引っ込んでしまったフォ・ユァンジャと出会う盲目の娘、月慈*4だが、この藍色の衣装が山の緑に映える。ワダ・エミが衣装に参加しているから「これか!」と思ったが、これじゃない様だ*5。でも、私がこの映画で一番美しい場面と思うのは、フォ・ユァンジャが月慈と別れる時の情景。濃い緑の中に藍色の衣装に身を包んだ細身の月慈が白い梅の花を背に立っている一カットがジェット・リーの主演映画とは思えない(失礼)美しさだと思う。
で、「武」は力では無いと悟ってからは、やはり円弧の動きが基本。が、『THE ONE』の時とは何かが違う。言葉にならない何かなのだが、視点の違いがアクションに出ているのだろうか。
ちょっと気になっていた中村獅童だが、フォ・ユァンジャとお茶に対する話し合い*6のシーンを除けば、意外にアクションも良いんじゃないか?かなり意外だった。
この映画は、ジェット・リーが長年やりたかったというだけあって、「武」に対するジェット・リーの考え方が滲み出ている様だ。
香港映画で正義の師父、ハリウッドに渡ってからの迷走、最近の一皮剥けた姿、その全てが詰まっている映画と言えるんじゃないかな。
ま、ジェット・リー万歳な映画である事は疑う余地は無い。
エンディングになんか日本人のバンドが歌っていたが、違和感バリバリ。是非ともDVDには、オリジナルのエンディングを収録して欲しい。

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*4:スン・リー

*5:ワダ・エミは、中村獅童の衣装だけらしい

*6:吹き替えじゃないかと思ったが、パンフでは本人がやっていると強調しているから、本当なのかな?