小川一水「ハイウイング・ストロール」ISBN:4257770279

少年の成長物語に、年上の気の強い女性に、彼女の昔の彼氏で最高のパイロット。そこにストレガ並の浮遊感にナウシカもどきの世界観に雰囲気!なんかここまでストレートでど真ん中なジュブナイルを読んだ事がないつーぐらいに、王道すぎる。展開とかもベタベタなんだがここまで外さないと、一種の爽快感もある。
つか、小学生高学年ぐらいで読んだら忘れられない一冊になるかもしれないが、悲しいかな30過ぎのオッサンには途中からちょっとと言うかかなり読んでいるこっちが恥ずかしくなるぐらい真っ直ぐすぎるよ…。まぁ、そういうレーベルなんだから仕方がないんだけどさ。
で、今回は小川一水らしい現場主義や取材第一、または「導きの星」で見せたようなハンパな哲学とか倫理とかはバッサリ斬り捨てて、ひたすらエンターテイメントに徹しているので、ものすごく軽く読める一冊。ただ悪い癖は治っていない様でラストが相も変わらずグダグダ…。なんでそこだけは変わらないのかが不思議でしょうがないんだが。まあ、それは折り込み済みですから。
少なくとも、今までをわかっているのなら読んでも損はない。