笹本祐一「ARIEL 20」ISBN:4257770112
私が自発的に本を読む様になってから、ずっとリアルタイムで読んできた一番古いシリーズの完結*1。その意味ではかなり感慨深い一冊とも言える。まあ、最終巻ではあるが、番外編や外伝とかの話もあるようなので、まだまだこの登場人物達の話は続くわけですが。
さて、半ば主役の座を博士と高校生三人娘+ナミに奪われっぱなしだったパイロット三人娘に物語の主導権が戻り、どーんと広げていた風呂敷を一気にまとめ上げた。そして無視され続けた絢で最後を締めくくった点は、個人的にポイント高し*2。
で、博士の望んだ結末ではなく、最終的に美亜らしい方向に、戦いではなくメディアの力で、剣ではなくペンで全ての物語を軟着陸させた事については、実は非常にARIELらしい物語の収束だったと思う。過去を振り返るとARIELが中心になって戦ったのは、始めの数回、メカ娘々、スクラッパーと本当に数えるほどしかない。その他殆どは必ずも非戦ではないが、他者とのパワーバランスを利用してやり過ごしたり、引っかき回したりして可能な限り被害を少なくしようとしていた*3。その点では当初のコンセプトから大きく逸脱してしまったのかもしれない。
元々、ARIELはロボットアニメを小説でというコンセプトから獅子王連載*4が始まり、全52話、つまり一年分を書くという事で、実際52話なのだが、そういう事だった。それからアンソロジーコミック、ドラマテープ*5、OVAと今で言うメディアミックスをやっていた訳で、商業的に成功したとは思えないし早すぎた所はあるが、先駆けであったと思う。その点は評価すべきだと思う。
最後に、個人的には外伝で絢とタイムトラブラーの話をもう一度やって欲しいのと、以前出した鈴木雅久のARIELのイラスト集をもう一度編集しなおして欲しいとだけ書いておこう。